 | へぎ板製作はノコギリが発明される以前から、板の割りに使われた、非常に古い伝統技術です。屋根・壁材として用いる厚さから、コンマ数ミリまで、小林さんは自由自在に板を割ることができます。
小林さんのへぎ板は、天然のクロベ(別名、ねずこ)を用います。クロベは木曽五木のひとつに数えられますが、天然のものは特に少なく、ほとんどが文化財の復元などに用いられるため、材料の入手がとても難しいとのこと。木目が非常に美しく浮き出るのが、この木の特徴です。 小林さんは、材料となる木材の選定から始めますが、今回はへぎ板製作からご紹介します。
へぎ板は、まず材料の板に鉈で切れ込みを入れます。ですが刃物を使うのはここまで。あとは手作業で割っていきます。 |
 |  |
| 板には数箇所割れ目を入れ、手で割ります。厚い板がシュリシュリと音を立てて薄くなっていき、最後は厚紙のような状態に。何気なく割っているように見えますが、慣れないと裂けてしまったり、最後に欠けたりして満足な形状になりません。均一の厚さに揃えることが、とても重要です。 |
 |  これが、へぎ板の表面です。材料の持つ木目が、非常に自然に浮かび上がってきます。 また刃物による切断と異なり、木の繊維を傷めないため、長い年月にも耐えることができます。 同じ材料から作り出したにもかかわらず、木目の変化によって、まったく違った表情の板が生み出されます。 |
へぎ板を素材とし、小林さんは網代細工を行なっています。この網代細工は様々な紋様を演出することができ、亀甲、市松、矢羽などの形状が楽しめます。 主な市場は京都など、日本の文化が伝えられている地域の建築物。また各地の文化財の保存にも、小林さんの技術が活かされています。
網代細工では、材質の異なる木を使うことで、文字を編み込むことも可能。小林さんは最新の手法も用い、パソコンでデザインを検討しながら製作パターンを決めているとか。御施主さんとの確認がスムーズに進みます。
網代細工の講習会では、奥さんも講師を勤めます。 |  |
 |  「この技術も後世に伝えていかなくちゃならないとは思うが、現代は、材料として必要な天然木がなかなか出てこない。技術を学んでも生活できなくなっては大変だと思うと、後継者を育てるのも難しいな」と小林さんは語ります。
それでも、1人でも多くの方にへぎ板の文化を知っていただきたいという思いから、平成17年の夏には展示場を兼ねた茶室を作りました。 |
 |  |
この展示場では、天井や壁板の使用例のほかに、衝立や網代の額などの装飾まで紹介しています。特に干支を編んだ網代の額は、贈答品としても喜ばれているとか。
また小林さんのもとで網代細工を学び、様々な文字を編みこんだ額を新築祝いなどに贈る方もいらっしゃるそうです。
最近は、体験宿泊プランの一環として、こちらで網代細工の講習会を行ないたいと希望するホテルも現れてきました。 他では見られない職人の技を見学し、網代細工のお土産をご自身の手で製作してみてはいかがでしょう。 |  |